食育と健康1
先日、スポーツと健康をテーマにした記事を書いたのですが、今回は毎日の生活習慣で最も重要と言っても過言ではない、食事と健康について書きたいと思います。以前、食育は重要という記事を書いたのですが、あれからしばらくして新型コロナウイルスのパンデミックが始まり、普段の食事習慣が、危機の際には命までも左右するとますます実感しているところです。新型コロナの感染により、肥満や糖尿病などの基礎疾患がある人の重症化のリスクが高いことがデータから明らかになっているからです。遺伝的な理由など致し方がない場合ももちろんありますが、普段の生活習慣、特に食生活の積み重ねは健康に大きな影響をもたらします。まさしく我々は食べた物によって成り立っています。
その人の食の好みを形成するのは、究極的には幼少期の食育ではないかと私は考えています。以前、たいへん大きな反響があった英語教育の記事シリーズにおいて、日本人に英語が苦手な人が多いのは日本語の音の少なさが理由の一つであり、多くの音を区別し発音できるように、幼少期から多くの言語の音に触れることの重要性を述べました。いったん成人になってからでは認識できる音を増やすことは至難の業のようです。いくら頑張っても我々日本人は一般的には他言語下手、英語下手なのです。
それと同様に、一般的に言って日本人がグルメなのは、幼少期から家庭で作った手の込んだ食事やお弁当を食べることが当たり前で、更に外に出ればさまざまなお惣菜や世界各国の料理がかなり高い水準で提供されていることが理由であると思います。日本では不味いレストランや弁当屋はつぶれるのが当然です。そして、近年は若干ファーストフードやジャンクフードも人気になっていますが、舌の肥えた私たちは、普段から和食を中心とした繊細な味付けの、健康的な食事を取ることが当たり前で、全体的に見ると肥満の人が少ないことが、今回の新型コロナウイルスの死傷者が欧米、特にアメリカに比べて少ないことの一因であると推測されます。
これは少し余談ですが、日本人にはスリムな人が多いのに比較的糖尿病が多いのは、白米、砂糖、その他甘味料の摂取が主な原因だと考えられます。白米は玄米に比べて血糖値の上昇を招きやすいからです。私はそのため毎日玄米を食べています。和食は玄米にすればより理想的な食事になると思います。また、我が家では砂糖はほとんど使わず、甘味料は少量にしてメープルシロップなどで代用しています。
では私がなぜ食育が大切だと考えるか。それには、私の米国生活での食事の苦労があります。アメリカの人には若干失礼に当たるかと思いますが、敢えて言います。アメリカの食事はとても不味い。不味いレストランでもつぶれない。みな不味い料理でも平気で食べ不平をいうことはありません。日本人だとみな、「なんだこの不味いメシは、こんなもん食えるか!」といいたくなるほどの不味い料理でもそうです。これは当初日本からアメリカに来た26年前は驚くべきことでした。だいたいは大味で脂っこくて砂糖が多く、量も多くカロリーも高いのが普通です。昔、試しにアメリカ人に海苔を食べてもらったことがありましたが、海苔のあの旨味がわからないようでした!我々日本人が英語にだけある音を認識するのが難しいのに似てませんか!
近年は様々な国からの移民が増えて、比較的おいしい食事も食べられるようになりましたが、多彩な国の料理をその本国より美味しい日本風にして出してくれる日本のレストランを知っている私にしてみれば、アメリカの一番美味しいレストランでも、日本では普通レベルのように思います。一般的に言って日本人はたいへん舌が肥えています。この間の東京オリンピックの選手村で出されたお寿司や餃子が他国の選手に人気だったようですね。私から言わせれば当たり前としか言いようがありません。日本の食事のレベルは本当に高いのです。アメリカに来てからの20年間は本当に苦労しました。何を食べて生きてきたのか思い出せないほどです。
次回に続く