ピーボディ・エセックス博物館

日本美術に関して思い出したことがあるので、備忘録をかねて書いておきます。

今はワクチンのおかげで、移動制限もかなり緩やかになりましたが、今年の冬ごろまでは州外への旅行制限が厳しく、州外に出かけると双方の州で2週間の自己隔離を求められたりするなど、なかなか旅行が難しい時期がありました。しかし、真冬にあまりにも出かけない生活が続いて、日常に飽きた家族が気分転換しようと言い出しました。平時ですらボストンの冬は寒い上に日照時間が短くなり(4時頃には暗くなりはじめます)、気分が落ち込む人も現れます。私はいつでも絶好調なので別にどちらでもよかったのですが、それならどこかマサチューセッツ州内に出かけようという話になったのです。そこで、車で1時間弱の場所にあるセーラムという海沿いの街に行くことにしました。セーラムは魔女狩りが有名で、ハロウィンの際には全米から観光客が集まることで知られています。

セーラムにしたのは、家族が以前行ったことがある美味しいフレンチベーカリーがあり、久しぶりに美味しいケーキが食べたいと言い出したためでした。余談ですが、アメリカのケーキは一般的に甘過ぎて、日本人には単なる砂糖の塊のような味がします。そのため、普通のお店ではまずケーキは買えません。ただ、フレンチベーカリーに行くとフランス風の美味しいケーキが食べられることがあります。コロナのために1年ほど外食もできていなかったし、小旅行とケーキのためにのドライブをすることにしました。

目的のケーキを無事購入し、その後私は恒例の1時間散歩に出かけることにしました。(冬は寒いのでケーキは車中放置で全く問題はありません!)冬の大西洋を眺めながらの散歩もなかなか良かったのですが、その日はかなり寒い日で、海風に吹かれると耳がちぎれそうでした。そのため、暖をとるのと家族との待ち合わせのため、適当な場所はないかと探したところ、たまたま街の中心部にピーボディ・エセックス博物館を発見したので見学することにしました。町の博物館だと思っていて何かを期待して入ったわけではなかったのですが、とても意外なことに、日本の美術品がたくさん展示されていて驚きました。それも、本物の殿様の籠やたくさんの根付、現代アートから縄文土器まで幅広いジャンルのものです。館内のかなりの広さが日本美術に費やされていました。

帰って調べてみたところ、東京大学の教授も務めたことがあるエドワード・モースが収集したコレクションが多数収蔵されているとのことで、(行く前に見れば良かったのですが)地球の歩き方にも掲載されていました。まったく予想外の発見で、こんな小さな町に日本の足跡が残されていることに驚きました。ここマサチューセッツにはクラーク博士など日本に関わりのある人物が結構多いようです。そのほか私が幼児の時に見ていたアニメ、山ねずみロッキーチャックの原作者ソーントン・バージェスもマサチューセッツの人物です。

長年ボストン近辺に住んでいて気がついていませんでしたが、もし機会があればこの博物館を見学されてみてもいいかもしれません。

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