オーストラリア(国の機能の分散)
メルボルン大学にご招待頂いて、オーストラリアへ出張しました。
メルボルン大学はオーストラリアでトップの大学であり、色々なカレッジが集合している大学だそうです。イギリスと同じシステムですね。
実際オーストラリアは現在もイギリス連邦(コモンウェルス)に所属しているそうです。街の雰囲気など至るところからイギリスらしさが感じられるのもそのためでしょう。余談ですが、ボストンのあるマサチューセッツ州はニューイングランド地方にあり、正式名称もCommonwealth of Massachusetts です。
また、オーストラリア英語を生で聞いてみると、強いなまりというイメージとは裏腹になまりが強くて聞き取りにくい人は一部で、アメリカの英語よりもイギリス英語と似た響きでさらにイギリス英語よりは聞き取りやすいと思いました。なまりと言えばイギリス北部のスコットランドに行ったことがありますが、スコットランド英語はとても聞き取り難く難易度が高かったことが思い出されます。
オーストラリアに来たのは初めてですが、清潔で人がのんびりとしていて、暮らしやすそうな良い国だなあと思いました。
特に良いなと思ったのが運転です。ボストンでは荒い運転が普通で、ボストン・ドライバーという言葉もあるぐらいです。競争が激しくみんなカリカリしているので運転も荒くなるんでしょうか。日本では考えられないくらいのスピードで車線変更しまくって1秒を争うように運転する人がいます。その行為に余り意味はなく、自分の命を削っていることに気づいていません。私は怖いので出来るだけ運転しないようにしています。自宅から職場まで冬でも雨の日でも自転車通勤なのは危険な運転や渋滞を避けるためでもあります。
ボストンの愚痴が長くなりましたが、オーストラリアは日本やイギリスと同じ右ハンドルでしかも安全運転。少しスピードが遅かったり、信号が変わったのに気づくのが遅くても誰もクラクションを鳴らしません。スピードもとても常識的で平和です。それだけで心が洗われるような気持ちになります。行き過ぎた競争社会では人心が荒むというのが私の持論です。
オーストラリアに来てもう一つ良いなと思ったことは国の機能が分散されていることです。オーストラリアの首都で政治の中心はキャンベラ、経済の中心はシドニー、学術はメルボルンという具合です。これはアメリカも同様で首都はワシントンD.C.、経済はニューヨーク・カリフォルニアなど、学術はボストンです。
ところが日本の場合、全てが東京に一極集中しており、地方の衰退が続いています。このままでよいのでしょうか?皆わかっていることなのですが、東京に何かあった場合、すべての機能が停止するということです。近年は自然災害が立て続けに発生しているものの、未だ東京の機能停止までに至るような災害は起こっていません。だから今の状態が続いています。富士山の噴火や大地震、大水害など、東京を襲う可能性のある災害はたくさんあります。ただ、私のライフワークである癌予防と同様に、災害による被害も未然に防ぐことが重要なのに、対策をしても感謝されにくいので進展しないのです。
ボストンに留学している官庁の方とお話しする機会があるのですが、官庁は国会とやりとりしなければならないので官庁の一部が移転しても業務効率が悪いとのこと。となると、やはり災害の起こりにくい場所に国会などを全部移転して首都とすることが考えられます。こうすれば経済の中心は今まで通り東京で、機能分散ができます。大災害が起こる前に政治家が真剣にこの問題について考えて実行してほしいものです。