ニューヨーク1(若手のキャリア)
大分遅くなってしまいましたが、8月にニューヨークを訪問したときの話です。
以前から話しているように、私は何処かを訪問する際にはできる限り色々な方にお会いする機会を作るようにしています。現地在住の知り合いの方にこちらからご連絡して、いろいろな方を紹介していただくのです。そうすることで、昔からの知り合いに久しぶりにお会いすることができますし、新しい方とも知り合いになれるため、とても良い機会になると思うのです。
初日は、メモリアル・スローン・ケッタリング癌センターで働かれている若手研究者を中心とした皆さんとお会いしました。東大などからポスドクとして留学されていたり、ファカルティの職を得られている方もいらっしゃいました。
ニューヨークの邦人はどちらかというと企業の方が多く、ボストンよりも研究者の数は少ないようです。ボストンでは研究者交流会に毎回100名程度の研究者が集まるほど、邦人の中では研究者の占める割合が多いのですが。
場所は病院近くの美味しいスペイン料理店でした。やはりニューヨークは美味しいものが多いなといつも思います。
ニューヨークでも、若手の方々から近年留学を希望する人が減っているという話を聞きました。前からずっと言っていますがチャレンジ精神のある人が減っていることはとても残念です。日本にとどまり続けたほうが安定しているように見えるかもしれませんが、今後の情勢をみれば、若者がチャレンジして大いに社会を活性化しないかぎり、右肩下がりになっていくばかりです。そんなことはわかっていると言われそうですが。既存の価値観や道に縛られず、自分の頭で考えて行動してほしいと切に願います。
日本の昔ながらの王道のキャリアパスとして、企業では終身雇用、アカデミアでは入学から定年までずっと同じ大学に在籍するというパターンがあります。私はこれを良しとしているから社会が停滞してしまっているように感じています。やはり多様な環境で経験を積んだ人間を評価しないといけません。その際にいわゆる学閥などは無用の長物です。
お会いしたみなさんの中には、数年の留学というつもりで来たところ、米国より日本で発達している手技の専門家であることが強みとなって、そのまま米国でUSMLEを経ずに臨床医として働くチャンスを得た方もいらっしゃいました。
このように、計画しても何が起こるかわからないのが人生です。私もアメリカに来たときはまさか自分がここまで来れるとは1ミリも考えてもいませんでした。ただ、目の前のことを一生懸命に全力でやってきました。ただし、その時点での10年先、20年先を考えて目標を設定して積極的に行動するというのはとても重要なことだと思います。実際に、私は新年に今年の目標、10年後の目標という項目を書き出すことをここ10年ほどやっています。そうして具体的な目標を設定しつつも、まずはやってみるというチャレンジ精神を持って行動してほしいです。行動すれば、予期しない方向に人生が変わっていくこともありえます。結局はその時点での最善を考えた上で、リスクをとって行動し、全力を尽くすしかないと思います。