イヤーエンドパーティー
先日、私の所属するハーバード大学医学部関連のブリガム・アンド・ウィメンズ病院病理学部門のイヤーエンドパーティーが開かれました。出席者は病理学部門のファカルティ(教員)、レジデント、クリニカルフェロー(病理学科研修生)とその同伴者で、約150人でした。
アメリカの大学の年度は9月から翌年5月で、6月から8月は夏季休暇のシーズンですが、病院におけるアカデミアの年度は7月から翌年6月です。毎年年度末となる6月には、イヤーエンドパーティーが行われます。
私の部門のイヤーエンドパーティーは近年はボストンの中心部にあるシーフードレストランを借り切って実施されています。
アメリカの食事にはあまり満足していない私ですが、ボストンは沿岸部にあり、近海の新鮮なシーフードが手に入るところは救いです。このレストランも新鮮なシーフードを提供してくれ、割と美味しいので気に入っています。
アメリカのフォーマルなパーティーではだいたい、到着してクロークに荷物を預けたあと、アぺタイザー(前菜)とドリンクを持って立食形式で自由に会話をします。その後テーブルに着席して、コース料理が提供されるということが多いです。
もちろん、このような割とフォーマルな会合だけでなく、簡単な飲み物と簡単な食事(サラダやチーズプレートなどとても質素なもの)が提供されて、セミナー室などで立食で行われる会合もパーティーといい、形態は様々ですが、アメリカではパーテイーがとても多いです。
私の研究室でもつい先日、長年私の研究室で仕事をし、近年は独立したAssistant Professor兼分子病理疫学研究室の共同主任研究員の新進気鋭の日本人研究者がついにハーバードとブリガム・アンド・ウィメンズ病院を去るということになったので、送別のパーティーを行ったところでした。
パーティーで他人とコミュニケーションをする能力も人脈形成にはとても重要です。日本人と比べて一般的にアメリカ人は知らない人と会話をすることにあまり抵抗がなく、積極的に会話を楽しむことができる人が多いのではないかと思います。
私も長年のアメリカ生活でだいぶ慣れましたが、最初はとてもとまどいました。今でもアメリカ人に比べると自分はまだまだだなと感じます。それでも自分なりに積極的にいろいろな人に話しかけるように心がけています。特に国際分子病理疫学会議など自分が主宰する会議では、参加者は皆私のことを知っているので割といろんな人と話しやすいです。
当然会議やパーティーでは自己紹介し合うことが多いですが、アメリカ人などが得意なのが人の名前を覚えることです。一度会った人の名前を覚えるのはある意味礼儀のようなものなので、人の名前を覚えるのが苦手な私はとても苦労します。この点では他にアメリカで活躍している日本人も皆同じように苦労しているようです。
日本人が全般的に日本人以外の名前、特に聞いたことのない名前を覚えることがかなり苦手なのは、以前よりこのブログで力説している日本語の音の少なさに起因するものだと私は考えています。我々は幼少時の脳がまだ柔らかい(いわば鉄が熱くて柔らかい)時期、すなわち言語的に大切な時期に、少ない音の日本語にしか暴露しなかったので日本語にない音をとらえられないし認識できないために名前が聞き取れず、覚えられないというのが私の持論です(詳しくは英語教育の記事をご覧ください)。
実際に私が属している部門のトップであるチェアを務めるジェフリー・ゴールデン教授はそういうところにも抜かりがありません。私の妻の顔を見るなり「この間会いましたね」と紳士的に話しかけてくれました。どうやら会った人の顔と名前はかなり記憶している模様です。スピーチでも今年度に新たに昇進した人たちや、部門内で生まれた子供に対する祝辞などぬかりがありません。何枚も原稿を用意して臨んでいて頭が下がります。50人以上のファカルティを抱える大きな部門のチェアはこういう人でないと務まらないのかもしれません。