ボストン日本人研究者交流会

先週末は久しぶりに、私がアドバイザーを務めるボストン日本人研究者交流会の特別イベント「見えないものが見えた!~史上初のブラックホール撮影の舞台裏~」に出席してきました。

先日日本でも大きく報道された史上初のブラックホール撮影にマサチューセッツ工科大学(MIT)で働く日本研究者の2人も参加していたようです。今回は貴重な機会ということで、通常はボストンのアカデミックカレンダーの9月から5月に合わせて月1回しか開催されない交流会が、特別に6月にも開催されることになりました。

講演内容等については、未発表のデータやオフレコの話などを心置きなく話していただけるように非公開としていますので、ここには詳しい内容は書けませんが、ブラックホールの撮影の裏にある苦労話やブラックホールの撮影から見えるこれからの展望など、とてもロマンのある話を聞くことができ大変面白かったです。

因みに毎年9月のシーズンの始まりには、教授クラスの方をお招きした基調講演を開催しています。去年はMITの言語学の宮川繁教授、一昨年はMITメディアラボの石井裕教授でした。私も2016年に講演しました。今年はハーバード大学医学部・マサチューセッツ総合病院の河合達郎教授の予定です。

この交流会は2000年に始まりました。私はハーバードメディカルスクールのインストラクター(助教のひとつ下のランクの教員)として2001年にフィラデルフィアからボストンに来た頃から交流会に参加し始めました。まだ覚えていますが、最初に参加したのは2001年の年度末忘年会のような集まりでした。

この交流会が19年もの間続いているのは素晴らしいことです。

私は2004年に交流会で講演し、2009年から幹事の一員となり、2015年にはアドバイザーとなり、ボストンに来てからずっとこの交流会に関与してきました。

ボストンには素晴らしい研究機関がたくさんありますし、日本からも色々な分野の若い研究者が次から次へと研究にやって来られます。

研究者の専門分野は生物医学関係が最も多いですが今回のような宇宙や物理、化学、数学、政治学、経済学、公衆衛生学、その他の様々な分野から満遍なく色々な話を聞いてもらえるように幹事で話し合いをして毎月の講演を開催しています。毎月100人以上の参加者がいます。

幹事はボランティアで結構忙しいので1人にかかる負担を減らすようにここ10年は常時7から10人ほど置いています。1人がだいたい2年以上やることが普通ですが、人の入れ替わりが激しいボストンの土地柄、初期のころから関わっているのは最早私だけのように思います。

この交流会はまるで生き物です。運営の仕方によって、たくさん人が来たり、あまり人が来なかったりします。この交流会の栄枯盛衰の歴史を見て経験している私独自の視点から現在の幹事陣にアドバイスを送っています。幹事陣は、リーダーシップがあり責任感が強く、生きのいい方ばかりなので、私もたいへん刺激をもらっています。今までそれこそ何十人の幹事と知り合いました。

会の運営を通じて組織マネジメントなどについて学ぶことも多く、ただでさえ処理するのが大変なメールの数が更に増え大変ですがこれまで続けてきて良かったと思える関わりのひとつです。

例えば、私は国際分子病理疫学学会をチェアとして主宰していますが、この交流会での体験が国際分子病理疫学学会運営のヒントにもなっています。

このブログの初回に書いたように日本人研究者の数が減ってきていることは憂うべきことですが、この交流会を通じて様々な分野の研究者の横の繋がりが出来ているように感じます。

実際に日本に帰国した元幹事が中心となりこの交流会の日本支部の集まりが不定期的に開催されています。

皆さんも、もしボストンにいらっしゃるようでしたら、ぜひこの交流会に参加してみてください。

*画像はボストン日本人研究者交流会のホームページより引用

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