NIH(NCI)でのOutstanding Investigator会議1

今、米国国立衛生研究所(NIH)に属する米国国立がん研究所(NCI)での会議のためにワシントンDCに来ています。NCIはワシントンDCのダウンタウンから少し北の郊外の住宅街にあります。最近はNCIでの用件も多くよくワシントンDCに出張している気がします。

さて、今回の旅の目的は、NCIのOutstanding Investigator Awardの受賞者が年に一度集まるはじめての会議です。各受賞者が自分の研究成果とこれからの研究計画について発表し、他の受賞者とディスカッションをするというとても刺激的な機会です。

以前の記事でも少し述べましたが、このOutstanding Investigator AwardはNCIが2015年から始めたプログラムであり、7年もの長期に渡り大型の研究費(最大で1年当たり600,000ドルの直接経費)の支援を受けることができます。癌科学の分野でも限られたトップレベルの研究者のみが受賞している研究費です。それゆえに、私はこの会議をとても楽しみにしていました。

私は幸いにもこのプログラムが創設された2015年に受賞することができ、現在まで4年の間、恩恵に預かっています。

近年の研究費獲得の過当競争がもたらす問題については、以前の記事でも述べましたが、私はこのOutstanding Investigator Awardはこの問題を解決するのにとても良いプロジェクトだと考えています。

質の高い研究をすると思われる、ユニークで傑出した研究者に多額のお金を長期間与えることで、その研究者はより大きなリスクを取って、既存のパラダイムに挑戦し、冒険をすることができるのです。研究とは、必ずしもかけた費用と労力が成果に結びつくものではありませんが、ある程度の費用をかけないと成果が出ないのもまた事実です。当たり前ですが、成果を出すためには辛抱する期間も必要です。

実際に、通常のNIHのグラントの採択率は10%程度であり、通常はもっと短い期間しか支給されません。細切れで研究費を申請し続けて研究費を獲得することが目的となり、研究のことを考える暇もなくただ精神的に疲労するだけの生活を強いられている研究者にとって、このようなプログラムはとてもありがたいものです。

また、単に研究費を支給するだけでなく、こうして年に1度会議をすることで、受賞者同士の議論やコラボレーションを促進することもでき、全体的にとても良い試みであると考えます。

会議の内容は次回に続きます。

*画像:NCIのホームページより引用

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