ドイツでの講演(時代を先取りする重要性)
出張中で更新が途絶えてしまいましたが、ドイツで講演をしてきました。
Tumor Immunology Meets Oncology (TIMO) XVは、ドイツのハレにある、マルティン・ルター大学のバーバラ・ゼルガー教授が主催している癌免疫学の会議で、今回で15回目を迎えました。
出席者はドイツなどのヨーロッパからが中心でしたが、カナダやシンガポールから招待されている人など総勢約150名の参加者がいました。
私が2年に一度主催している国際MPEミーティングと同じように比較的小規模で密にネットワーク構築と情報交換ができるとても良い学会でした。
ハレはルターや作曲家ヘンデルにゆかりのある歴史のある街で大学でルターが教鞭を取ったこともあるようです。学会の会場となったホールもとても歴史のある場所でした。
癌免疫学の学会なので講演では微生物学MPEに加えて、免疫学MPEについてより詳しく話しました。免疫学MPEの研究成果の詳細についてもまたこのブログで触れていきたいと思います。
それにしても、近年の癌科学における癌免疫学の発展は目覚ましいものがあります。私は癌免疫学がこれほど着目される以前から癌に対する免疫学の重要性を考慮して研究を進めていました。近年皆が着目している理由は、実際に癌治療において免疫療法が目覚ましい成果を上げつつあるからでしょう。
ある領域が着目され始めると、皆がその領域に参入します。一つには、ホットな領域に対しては研究費が多く配分されるので研究資金を獲得しやすいと考えるからかもしれません。
しかし、注目を受けてから参入するのではいささか遅いことが多いと思います。必ずその領域には早くから目をつけて研究の基礎を築いている研究者がいるからです。
やはり、注目されているから研究するのではなく、自分の頭で何が重要かを現時点の科学から分析し、未来を先読みするべきだと思います。
私が今推進している免疫学MPE(免疫分子病理疫学)や癌の免疫予防はそういう意味、これからもっと脚光を浴びるものと考えています。時に過小評価されたり批判を受けたりすることもありますが、自分の研究の価値を信じて頑張るのみです。
*写真は歓迎ディナーの席で誕生日を祝ってもらった時のものです。ドイツ料理とビールがとても美味しかったです。