FASEB Excellence in Science Awardの選考1(女性科学者の育成・顕彰)
今年もFASEB Excellence in Science Awardの選考の季節がやってきました。
Federation of American Societies for Experimental Biology (FASEB) とは、29もの生物学及び生物医学関連学会が加盟し、130,000人以上の研究者を代表するとても大きな団体です。
FASEBでは毎年、Excellence in Science Awardという生物医学分野で顕著な業績をあげた女性研究者を対象とした賞を授与しているのですが、私は2014年よりこの賞の選考委員を務めており、毎年この時期に大量の審査書類を読んでいます。
http://www.faseb.org/About-FASEB/Organizational-Structure/Governance/Board-Ordinary-Committees.aspx
例年は応募者の中から大物の科学者が一人しか選ばれなかったのですが、今年度からは大物科学者を対象とした賞に加えて、伸び盛りのミッドキャリアや若手のアーリーキャリアの賞が新設され、更に若い世代も対象となりました。
FASEBのような権威ある団体が女性を対象とした賞を与えることは科学界における女性の地位向上のためにとても良い取り組みだと思います。
このように、女性の社会進出が比較的進んでいる米国ですら、女性の参画を促すために今だに様々な場で努力がなされているのです。
私が日本に行って一番違和感を感じるのは、学会やその他の会合などの出席者の殆どがシニア世代の男性ばかりという点です。何でおじさんやおじいさんばかりなのだろう?と、とても違和感を感じます。残念なことに日本はまだまだ男性優位な社会であることを肌で実感します。
日本の権威ある学術団体でFASEBのような取り組みをしているところはあるのでしょうか?私は詳しいことは知りませんが、恐らく少ないのではないかと感じています。
女性だけを優遇すると逆差別だという声もあるようですが、FASEBのように、始めから女性を対象にしていれば問題ないですし、賞を与えることで結果的に男性と同じフィールドに立つ女性のキャリアアップを促進することもできます。
日本でも是非このような取り組みをたくさん進めて欲しいものです。
次回は選考の際に私が重視する点について書きます。