GECCO @シアトル
今週、来週と出張ウイークが続きます。ボストン→シアトル→ワシントンD.C.→インディアナポリスと巡るアメリカ横断の旅です。
まず、昨日から毎年シアトルのFred Hutchinson Cancer Research Center(フレッド・ハッチンソン癌研究所)で行われている、GECCO研究者ミーティングに訪れています。
GECCO(Genetics and Epidemiology of Colorectal Cancer Consortium)とは、大腸癌の遺伝的リスクファクターと、環境的要因の因果関係の特定と病因の究明を目的とした国際共同研究プロジェクトです。北米だけでなく、オーストラリアやヨーロッパやアジアの40,000症例ものデータを用いる巨大プロジェクトです。
おそらく200名を超える研究者が参加していて、様々な研究成果を発表しています。今年の初めにはネイチャー・ジェネティクスに新しい大腸癌のリスク遺伝多型を発表しましたが、それは研究成果のほんの一部にすぎません。
https://www.nature.com/articles/s41588-018-0286-6
このGECCOはもともとゲノム・ワイド・アソシエーション(遺伝子多型を網羅的に調べるプロジェクト)研究のコンソーシアムとしてスタートしましたが、近年の研究テーマには分子病理疫学(MPE)が不可欠です。そもそも私が6年前にこのGECCOの研究グループに招かれたきっかけも私が分子病理疫学の提唱者であり専門家だからでした。
このGECCOプロジェクトは2014年より今年の夏まで5年間、総額15億円を超える、いわゆるフラッグシップ(旗艦)グラントを米国国立衛生研究所から獲得していますが、そのタイトルもズバリ「大腸癌の分子病理疫学(Molecular Pathological Epidemiology of Colorectal Cancer)」です。私がこのタイトルを自分のグラントに使う前に、光栄にもこの巨大なプロジェクトに使われてしまいました!
http://grantome.com/grant/NIH/U01-CA137088-05
なおこのグラントにはU01というコードネームがついていますが、これは特殊な巨大プロジェクトにつくコードネームの一つです。
例年このGECCO年次研究者会議にはコアなメンバーの約50名が出席します。今年はこの巨大旗艦グラントの5年目ということで、この次なるグラントについての話し合いに多くの時間がさかれています。
ちなみにGECCOはgecko (ヤモリ)に似ているということで、ヤモリの絵がGECCOのロゴに使われています。ユーモアは世界中のどこでも大事です。
シアトルは、アマゾンやマイクロソフトのお膝元として知られていますが、グーグルも新たにビルを建設していたりと、IT企業の集積が進んでるようです。ボストンと同じような活気が感じられ、盛り上がっている街です。
ただ、物価はボストンよりもやや安く感じました。ボストンはやはりなにもかもが高い!